2009年12月31日木曜日

キネシオテーピングの独自性について

激しいスポーツでよく使われるスポーツテーピングは「巻く」
という表現を使い、施した後は関節は「固定」された状態と
なります。一方、キネシオテーピングでは「貼る」という
表現を使い、施した後も関節は「可動」状態にあります。

キネシオテーピングには「接着・伸縮・被覆」という
3つのキーワードがあります。
またテーピングする際に意識すべき大事なことが
2点あります。

(1)持続性刺激を与える

(2)身体親和性を持たせる

(1)の「持続性刺激」とは、キネシオテーピングを
長時間身体に貼り付けておくことにより、
やさしい刺激を持続的に身体に与え続けることです。
そのためには、いかに「接着」された状態を
長持ちさせるかがポイントになります。
よってキネシオテックスをきれいにカットする
必要があり、切り口がジグザグになっていたり、
糸がケバ立った状態では剥がれやすくなってしまいます。
また貼り終わりに手でこすり、摩擦熱で粘着度を
上げることも大事です。ちなみに「プロは道具を選ばず」
といいますが、ハサミだけはよく切れるものを
使用してください。
参考までに、私は「NEVANON(ネバノン)」というハサミを
使用しています。非常にキネシオテックスと相性が
いいので使用してみてください。
キネシオテーピングに携わるほとんどの方が
使用しているのではないでしょうか。

また(2)の「身体親和性」についてですが、当然、
剥がれにくいテーピングを施しても、貼り終わりに
違和感があり、また皮膚のひきつれを感じるよう
では貼られている側はストレスを感じてしまいます。
いかにテーピングと身体を一体化させるかが
ポイントになります。
キネシオテックスの40%の「伸縮率」と貼る際の
相手の肢位が重要となります。

上記を意識してキネシオテックスを貼るのですが、
「貼る」の言葉が示すように、キネシオテックスを
皮膚の上にのせるということは、皮膚を「被覆」してあげる
ことになります。このことをキネシオテックスの
「保護分割作用」と呼びます。
神経刺激の緩和・リンパ液の流れの改善の際には
患部の痛みに沿って貼り(保護)、筋肉の
パフォーマンスUPの際は筋肉の形に合わせて
(起始・停止)貼ってあげます。
「分割」の示す意味は、狙うべき筋肉とそうでない
筋肉とを明確化するということです。

キネシオテーピングは上記のような他のテーピング法
にはない独自性をもって、症状を改善させていく
「自然療法」なのです。

少し読みにくい文章になってしまいましたが、みなさんも
キネシオテーピングを貼っていくうちに、
「ああ、このことを言ってたんだな」と思う時がくると
思います。
その際に、もう一度読み返してみてください。

次回はキネシオテーピングの治療部位についてです。

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続く・・・

2009年12月30日水曜日

キネシオテックスについて(伸縮性)

今回はキネシオテーピングを学ぶ上でとても重要な
伸縮性についてです。

■伸縮性

キネシオテーピングを勉強する上で非常に大事な要素に
なります。キネシオテックスはテープ長の方向には伸縮し、
テープ幅の方向には伸縮しない設計になっています。
(この伸縮しない特性を利用するテーピング法もあります)

伸縮率は約40%と皮膚の伸縮率に近似しています。
トレーナー養成講座、筋肉別1~4までは、
「テープを引っ張らずに皮膚の上に乗せてあげる
イメージで貼りましょう」と習いますが、
「コレクションテープ」と「特殊テープ」では、この伸縮率を
利用して(テンションを掛けて)、テーピングを行います。
また「ビューティーキネシオテーピング」の講座では
100%テンションをかけて身体の歪みを正すという
今までになかったキネシオテーピング法が学べます。
(肘部にテーピングを施し、わき腹をすっきりさせる
テーピングがあるのですが、非常におもしろいですよ)

ちなみにこの伸縮性は弾性ポリマーの効力が小さくなる
までの3日~5日間は有効だそうです。また、
キネシオテックスは裏紙(正式にはセパレーター)に
10%伸張された状態で貼られています。よって理論上
1mの長さにカットしたい場合は1m10cmに採寸する
必要があります。つまり、1mの場合は裏紙からテープを
剥がすと10cm分縮んでしまうということです。
(もちろん製品バラツキはあると思いますが)








よって坐骨神経痛テーピング、上腕神経テーピング等の
長いテーピングを貼る場合はセパレーターから剥がした
後に、10%縮むということを頭に入れて採寸する必要が
あります。

上記の伸縮性は後ほどお伝えする「身体親和性」に
密接に絡んでくるので、覚えておいてください。

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続く・・・

2009年12月28日月曜日

キネシオテックスについて(厚み、剥がし方)

キネシオテックスの素材についての続きです。

■厚み

重さや圧迫を認知する受容器に対して、いたずらに
知覚刺激を与えないことを意図した厚みです。
みなさんも貼ってみればわかります。上手に貼れた
テーピングでは、ものの10分程度で貼られている
ことを感じなくなります。講習会で数枚貼った後に、
「さあ、今何枚貼られているか言える人いますか?」と
質問すると、たいていの方は「あれ、何枚だっけ?」と
答えられないものです。

「意識しなくなる」ということは非常に重要なことです。
なぜならばキネシオテーピングは少なくとも1日、
ベストは3日間くらい貼り続けた方がより効果が
期待できます。意識しなくなるということは、
身体に負担が少なく、それだけ長く貼っていられると
いうことになるからです。

■剥がし方

裏紙(セパレーター)から剥がした状態では、粘着力が
弱いと感じるので、「剥がれやすい」と認識していると
痛い目にあってしまいます。特に皮膚の柔らかい
部位の場合、一気にベリッと剥がしてしまうと皮まで
持っていかれてしまうので注意をしてください。
私も一度だけ経験があります。
「こいつはあなどれない」と正直思いました・・・

特に股関節、脇の下近辺は皮膚が柔らかいので
注意しましょう。剥がし方はキネシオテックスを皮膚から
剥がすというより、「キネシオテックスから皮膚を剥がす」
イメージで行ってください(下図)。
キネシオテックスを剥がそうとして持ち上げた際に
皮膚も一緒に少し持ち上がると思いますが、その皮膚を
元の位置に戻してあげるイメージです。
あと毛深い人の場合は毛並みに沿って
(毛根から毛先に向けて)剥がします。
逆に剥がすととても痛いですよ。念の為言いますが
一気に剥がすのはNGです。













次回は、キネシオテーピングを学ぶ上でとても重要な
伸縮性についてです。

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続く・・・

キネシオテックスについて(素材、粘着剤)

さて、職人は自分が使う「道具」について熟知している
必要があります。

数回に分けて記載しますので、これから使う「道具」に
ついて特徴を知っておきましょう。
キネシオテーピング法のコンセプトを理解する上で、
素材の理解が必要です。

キネシオテーピング専用テープの正式名称を
「キネシオテックス(KINESIO TEX)」と言います。
最近では「KINESIO TEX GOLD」というものが
発売されています。
これは米国キネシオテーピング協会認定テープで、
国内でも推奨テープとして一般に普及されることに
なりました。

色々と似たものが市販されていますが、個人的には
このキネシオテックスが一番なじんでいます。
(ちなみにSARASAキネシオロジーテープも
使いやすいような感じがします)

■素材:

キネシオテックスは100%繊維性で包んだ
ウレタンポリマーを伸縮性の紐状にしたものです。
綿繊維を使用したことで水分が蒸発しやすく、
むれにくい、お風呂に入った後も乾きやすく通気性に
非常に優れています。口を閉じてキネシオテックスを
貼ってみてください。ちゃんと呼吸ができます。

■粘着剤:

アクリル樹脂100%で肌荒れの方でもかぶれにくく
なっています。また体温により粘着性が増すので、
一旦身体(皮膚)になじむと剥がれにくいのが特徴です。
貼り終わったら、手でこすり摩擦熱を加えてましょう。
裏紙を剥がしてみると確認できますが、粘着剤は
「波型」に塗布されていて、全面にべっとりついている
わけではありません(下図)
この塗布の仕方により通気性が向上しています。
(「KINESIO TEX GOLD」は波型に更に改良が加えられ、
微小な間隔で皮膚を掴む機能が追加されたようです。)









約20分くらいで完全に身体になじみますので、夏場に
使用する場合は、汗をかかない涼しいところで貼り、
身体に完全になじませた後に外出された方がいいと
思います。

注意すべきは、裏紙から剥がした状態では粘着度が
弱いので(易剥離性)、テーピングに失敗した場合、
もう一度貼りなおすことはできません。
一回勝負と覚えておいてください。一度講習会で、
「このテープは不良品じゃないですか?」と指摘された
ことがありましたが、よく話を聞いてみると、全ての
テーピングで一回身体に貼り付けた後に、やり直しで
全部剥がしていたそうです。
みなさんも気をつけてくださいね。

最後にこの粘着剤は常温保存で約1~2年は品質が
変わらず保管しておけます。

次回は「厚み」と「剥がし方」についてです。

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2009年12月22日火曜日

キネシオテーピングの誕生について

今日は、キネシオテーピングの誕生についてお話します。

カタカナだから外国産のもの?いえいえこれは純粋の
国産品です。加瀬健造というカイロプラクターの先生が
考案されました。
加瀬先生は関節痛に対して患部そのものではなく、
その関節を動かしている筋肉に着目しました。
これは慢性の膝痛の患者さんにアスレチックテープで
患部を固定したしたところ、その晩に症状を悪化させて
しまったという反省からです。
キネシオシオロジー(運動機能治療学)の観点から
関節を動かす筋肉に着目したわけです。
ちなみにキネシオテーピングの「キネシオ」は
この「キネシオロジー」を語源としています。

最初に目をつけたのは手術用の伸縮性包帯でした。
再度患部をくるむことから始めたのですが、
一時的にはよさそうに見えてもやがて血行障害を
起こし、痛みが増してしまい固定することは、
日ごろ運動をしていない一般の人には不向きで
あることがわかりました。

そして試行錯誤を繰り返し、筋肉に沿ってテープを
貼るという現在のスタイルに到達しました。
早速、先天性股関節脱臼で股を開くことができない
患者さんに中殿筋という筋肉を包むように貼ったところ
股関節が開くようになり症状が改善されたのが始まりです。

キネシオテーピング法が考案されたのは1980年、
実用化が1983年、全国キネシオテーピング協会の発足が
1985年。誕生から来年(2010年)で30年が経過したことに
なります。

今では、日本はもちろんアメリカ、カナダ、韓国、台湾、
イタリア、ベルギー、ブラジル等、海外においても
普及しているテーピング法なのです。


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2009年12月21日月曜日

キネシオテーピングとの出会い

キネシオテーピングって一体何でしょう?
実は私も十年くらい前までは
「杵塩さんが考えたテーピングのこと?」とトンチンカンな
ことを言ってました。
ある日「講習会を受ける価値はあるよ」と知人に
勧められて興味本位で参加したのがきっかけでした。
テーピングの「しわ(別途説明しますね)」のでき方を
確認する「仙棘筋テープ」の実技で、前屈で床に手が
届かなかった固い身体が、グニャっと床に手が届く
くらいまで前屈ができるようになり、思わず「オッ」と
驚きの声を上げてしまったの覚えています。

今では指導員ということもあり講師を務めることも
ありますが、参加される方は、接骨院経営者、
スポーツインストラクター、理学療法士、
部活のマネージャー、自分が治療で貼られて、
とても効果があったので自分でも貼れるようになりたい
等々、さまざまな方がいらっしゃいます。
受講者の皆さんが抱かれる共通の思いは
「相手の痛みを和らげてあげたい」、
「コンディションを整えてあげたい」だと思います。
真摯な態度にいつも感心させられます。

最近、私は出てきたおなかを引っ込める為にジムに
通い始めたのですが、十数年も運動から
遠ざかっていたのでトレッドミルは少々酷で
膝を痛めてしまいました。それ以来、 ジムでは毎回
キネシオテーピングを貼って走っています。
赤、青、黒とカラフルに。時々「なんだそりゃ?」という
痛い視線を感じますがもう慣れました。周りを見渡すと
まだまだキネシオテーピングを使用している人は少なく、
「ああ もったいないなぁ」といつも思ってしまいます。
キネシオテーピングは決して臨床家の為のものだけで
はなく、誰もが貼れるものです。
(もちろん筋肉の形についてある程度の知識が必要ですが)

しっかり勉強すれば、接骨院等でキネシオテーピングを
貼ってもらった時に、
「先生、この貼り方はちょっと違うのでは?」なんて、
一般の方が施術者に意見する場面があっても
おかしくないのです。
ですからもっと一般の人にもキネシオテーピングを
知ってもらいたいと思います。
久しぶりに行ったディズニーランドでもう足がパンパン。
引越しのせいか胸の筋肉(大胸筋)が痛い。
ぎっくり腰になってしまった。五十肩の予備軍になって
しまったのか腕の上がりが悪い、冷え性をなんとかしたい、
病院に行くまでもないが、なんとか楽になりたいという方、
一家に一個キネシオテーピングを常備しておいてください。

きっとあなたの身体を改善へと導いてくれると思います。 

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